沖縄琉球ガラス工芸とんぼ玉体験しょっ!

ステンドグラスの基礎技法

作業に当たっての注意

色板ガラスの保管

作品を制作した後に残ったガラスは、メーカーや品番を油性ペン等で書き込み後で取り出しやすいように立てて保管します。
 フュージングに使用するガラスの場合は、メーカーごとに固有の膨張係数(COE)を持っているので、メーカーや種類ごとに分類して保管するようにしましょう。

作業台の準備

作品の出来上がり寸法は計画どおりに仕上げるよう心がけましょう。正確な直角を持った寸法どおりの作品を作るために、作業台の2辺に直角に木を打ちつけておくと、作品の直角部分を確認しながら作業する際に便利です。直覚は大きな三角定規やステンレスの定規を使い、正確に測りましょう。
10mm程あけておく(ゴミ等を取り除きやすいように)。
作業台の準備.jpg

安全のために

服装について

ガラスのくず等が付着するので専用のエプロンをし、ガラスのエッジを削るなどの研磨作業中は保護メガネとマスクを着用しましょう。また、フラックス、ハンダ、パティーナ作業時やガラスを持ち運ぶ時は手袋をしましょう。作業中はクツか専用のスリッパを履き、作業後の床の掃除も忘れないように。

作業中のガラスの取り扱いについて

自分だけでなく一緒に作業している人がけがをしたり、しゃがんだ際に顔や目を傷つける原因になりますので、板ガラスは作業台の端からはみ出して置かないように注意しましょう。

常に換気を心がけましょう

フラックス、ハンダ付け、パティーナ作業中は、薬品類の気化等があるので換気に注意しましょう。特に電気炉焼成を行うフュージングや絵付けでは、焼成時に離型シートや離型剤等から不純物等のガスが出ますので、室内の換気は重要です。

型紙を切り抜く

ステンドグラス専用のパターンバサミを使う

下の型紙の赤線部分のようにガラス同士が接している個所はステンドグラス専用のパターンバサミ1mmで切り取ります。青線部分は面取りガラスが入りますが、直線なので定規を使ってカッターナイフで1mm内側を切ります。他は普通のハサミを使います。
型紙例1.jpg.....型紙例2.jpg 型紙例

パターンバサミで型紙を切る場合

型紙を切る1.jpg
パターンバサミで、深くえぐれた曲線の型紙を切る場合は、ハサミの根元の部分を細かく少しづつ動かして切る。

型紙を切る2.jpg
紙くずがハサミの溝に詰まったまま、無理にハサミを動かすと型紙の縁がギザギサになる。ガラスカットの際ガラスカッターの刃が引っかかり、切りにくくなるので、後ろに出てくる細い紙くずはまめに取り除く。

型紙を切る3.jpg 型紙を切った状態。

ガラスを切る

ガラスカットの基本

ガラスカットは立って行います。長い直線を切るとき等は特に肩から腕全体を動かして切ります。

ガラスカッターでスコアを入れる

ここではオイルカッターを使用します。
まず、ガラスカッターにオイルが入っていることを確認します。
(刃先はディスク状(車輪状)になっていて先端は図のように尖っている。)

図1 オイルを入れる
ガラスカットの基本1.jpg
ガラスカッターを鉛筆を握るように持ち、刃先に重心がかかっているような気持ちでガラス面に当てます。この時に刃先が自分の体の正面にガラス面に対して垂直の位置にあること(図2-A)を意識しながら、切り始めから終わりまで同じスピードで体ごと一緒に動いて切ります。
ガラスの構造は非晶質といわれ、原子が規則正しく配列している結晶ではないため、スコアを入れた後でもすぐにまた繋がろうとする性質があります。一度スコアを入れたらすぐに切り離しましょう。オイルカッターでは刃をガラスの表面に当てた時オイルがしみ出し、スコアラインにオイルがしみ込むことにより、ガラスが切り離しやすくなります。
ガラスカッターを強く握ってガリガリ音をさせながら白い粉が吹くほど刃先をガラスに押し付けるように切ろうとしても切れません。正しく切れているときは、刃先がガラスに食い込んでいるような粘っこい感覚がありチリチリという音がします。ただし、色ガラスの中にはとても硬く(セレニウムレッド等)、この例に当てはまらないものがあるので、初めはフロートガラスでたくさん練習しましょう。また一度入れたスコアラインの上を何度も切り直すのはカッターの刃先を痛めるので絶対にしてはいけません。正しく切れたスコアラインは、ガラスの裏から見ると1本のキラキラ光る線に見えます。
※ガラスカッターの握り方には鉛筆握りの他にもさまざまな握り方があります。また、切る方向も手前に引く方法と手前から押しながら切る方法と2種あります。

図2 ガラス面に対するカッターの角度
ガラスカットの基本2.jpg 図2-A 正面から見た図 90度

ガラスカットの基本3.jpg 図2-B 横から見た図
この角度は、自分の作業しやすい角度で良いが、一定の角度を保って作業する。

ガラスを切り離す

切り終わりの両端を両手でしっかり握り、外側に折るような引っ張るような力をゆっくりかけて切り離します。無理矢理力まかせにせず、力を入れるに従いひびが伝わっていくことを意識しながら行います。(写真A)
ガラスを切り離すA.jpg
なかなか切り離せない場合は、切り終わりの部分をガラスの裏からマルトリンヌでノックするように軽くたたくと小さくひびが入るので、先程と同様に両手でしっかり握ってひびがつながっていくようにゆっくり力を入れて切り離します。

細長いガラスの場合は、ワニ口ペンチを使いスコアのすぐ近くをしっかりはさんで切り離します。
(写真B・C)
ガラスを切り離すB.jpg.....ガラスを切り離すC.jpg

切り離したガラスはカミソリの刃のように切れるので、角と角を擦り合わせておく癖をつけましょう。(写真D)
ガラスを切り離すD.jpg

※マルトリンヌで軽くたたいてひびが入らないようであれば、もう少し力を強めてみます。それでもひびが入らないようであれば切れていないということです。思い切り強くたたいたりするとガラスが割れて飛び散りとても危険です。

曲線でカットする

カーブが急な曲線の場合

カーブが急な曲線の場合は、図Aのようにスコアを入れ、図Bの数字の順にマルトリンヌで軽くたたいてひびをつなげます。次に不要なガラスをはずすための補助スコアを図C、Dのように入れて、マルトリンヌでたたいてひびを入れてグロージングプライヤーなどで少しずつ切り離します。補助スコアは、最初のスコアにぴったり付けて切ってしまうとひびが入るため、最初に切った線からは1mm以上離します。(図C・D)
切り離したガラスのエッジはグラインダーで削り整えます。

曲線でカットするA.jpg A カットしたい曲線のスコアを入れる。

曲線でカットするB.jpg B マルトリンヌで軽くたたく。

曲線でカットするCD.jpg
C・D 最初のスコアから1mm以上離して内側にスコアを入れる。(スコアの形は図C・Dどちらでもよい)

緩やかなカーブの場合

マルトリンヌでたたく位置と順番は図Eのとおりです。最初にカーブの頂点を軽くたたいてひびを入れ、次に左右を順にたたいてひびをつなげます。
正しくスコアが入っていてひびがつながれば、ガラスは2つに分かれます。
曲線でカットするE.jpg

曲線でカットする1.jpg 型紙を置いて、ガラスの端から切る。

曲線でカットする2.jpg スコアを入れたら、マルトリンヌで軽くたたく。

曲線でカットする3.jpg グロージングプライヤーで少しずつガラスをくいとっていく。

フロートガラスでピージュを作る

ピージュとは幾何学的なデザインの作品を制作する時に、同じ幅のガラスピースを多数
カットするのに便利な定規のような役割をするものです。
ピージュを作る0.jpg

ピージュを作る

ピージュを作る1.jpg
1.型紙の底辺をガラスの端にぴったり合わせ、カッターの刃先で上辺の位置に2カ所印をつける(印の位置に油性マーカーなどで色をつけてもよい)。

ピージュを作る2.jpg
2.ガラスを180度回転させ、2カ所の印に定規を当て、ガラスをカットする。

ピージュを作る3.jpg.....ピージュを作る5.jpg
3.切り取ったピージュ(幅h‘)は、刃先から定規に触れている側面までの幅分、型紙のhより短くなっている。

ピージュを作る4.jpg
4.このピージュを使うと、型紙のhと同じ幅のガラスを切ることができる。
ピージュは、作業板に取り付けた木定規に滑らせて使う際に、角が引っかからないように図のような形に角をカットしておくとスムーズに作業ができる。

ピージュを使ってガラスを切る

ピージュでガラスを切る1.jpg
1.使用する色板ガラスを作業台にセットする。釘で2カ所留めてガラスを固定する。

ピージュでガラスを切る2.jpg
2.ピージュを色ガラスの上にのせ、端にカッターを当てながら同時に滑らせて直線に切る。

ピージュでガラスを切る3.jpg
3.型紙の幅(h)に切れた色ガラス。

ピージュでガラスを切る4.jpg
4.型紙の上辺と下辺をぴったり当て[イ]側を切り取る。

ピージュでガラスを切る5.jpg
5.型紙を180度回転させて[ア]の側を切り取る。

ピージュでガラスを切る6.jpg
6. 型紙を順に180度回転させながら切っていく。