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電気炉について

電気炉は、大きさ、熱量、熱線や熱電対の位置、使われる炉材などによって、温度の上昇、下降の速度などがそれぞれ異なります。例えば、扉が前面にある電気炉の場合は棚板の上の温度が手前と奥側でかなりの差が出るなど、炉内の構造等の条件の違いにより、電気炉ごとにくせがあります。
電気炉が違えば、同じ温度で焼成しても結果が変わってきますので、ここで紹介する温度は目安としてご覧ください。テストピースのように、実際に使用する電気炉でテスト焼成し、記録を付けて電気炉の特徴をつかんでからフュージングによる作品作りを行うことをおすすめします。
以下に参考までにここで使用した電気炉についてその特徴を述べました。電気炉を使用する場合、七宝用や陶芸用などすでにお持ちの電気炉があれば、それを利用できます。また、新たに電気炉を求める場合には、ガラス工芸材料・機材販売店または教室の講師等にご相談ください。プログラムコントローラーが付いていれば一番理想的です。

ここで使用している小型電気炉

個人で注文した電気炉1.jpg.....個人で注文した電気炉2.jpg

個人で注文した電気炉

内寸:W110×D180×H85mm 100V、1.2kW
プログラムコントローラー付き。
気密性と断熱性があり、徐冷もプログラムできるので、厚みがある作品でも安心して焼成できる。扉が前面に付いているので、電熱線は3面に廻っている。
焼成中に扉の開閉をしなければ、炉内全体は比較的均一な温度に保たれている。

クイックファイア1.jpg.....クイックファイア2.jpg

クイックファイア(アメリカのパラゴン社)

内寸:W150×D150×H150mm 100V、15A、1.5kW
小型で軽く、温度計が付いているがプログラムコントローラーは付いていない。取り外し可能なふたの内側には太い電熱線がぐるりと廻っているので棚板全体が比較的均一に短時間で加熱できる。
小さなモールドを使ってお皿やアクセサリー等を制作するには十分であるが、プログラムコントローラーが付いていないので、焼成中は目標温度に達してスイッチを切るまで側を離れないようにする。また、冷めるのも早いので、厚みのある塊のガラスを焼成するのには向いていない。
また、熱い状態にある上部をはずして側に置く時は、伏せて置くと火事になるので、写真のようにひっくり返して置くことを忘れないように。

PETIT1.jpg.....PETIT2.jpg

PETIT

内寸:W85×D120×H60mm
小さなアクセサリーなどの焼成に使用。プログラムコントローラーはついていないが、小さなのぞき窓が開いており、窓から中の様子を見ることができる。前面に扉が付いているため炉内の奥と扉近くでは温度差がある。

電気炉焼成時に使用するものなど

アルミナ板と離型シート1.jpg

棚板、離型シート

平らな状態でガラス同士を熔かし合わせるフュージングでは、ガラス作品を電気炉内の棚板に直接のせて焼成すると、軟らかく溶けた作品が棚板にはり付いてしまいますので、棚板の上に離型シートを敷いてその上にガラスをのせて焼成します。
アルミナ板と離型シート2.jpg アルミナ板と離型シート。
棚板(写真はセラミックボード製)の上に切った離型シートを敷いてこの上にガラスをのせる。

耐熱性のモールド(型)

板状のガラスを皿などの形にそわせて形にするスランピングの場合は、耐熱性のモールド(型)が必要となります。スランピングに使用するモールドの素材としては、耐火石膏、陶製(素焼き)のもの、ファイバーボードを切って作ったものなどいろいろあります。さまざまな素材、形やデザイン、サイズのものがガラス工芸材料・機材販売店などで販売されていますので、作りたい作品に合ったものを選び、ガラスの美しい模様を生かした小皿作りなどにもチャレンジしてみてください。
 スランピング用のモールドを自分で作る場合には、焼成時にガラスとモールドの間に空気が残らないように、底側に空気抜きの穴を開けるのを忘れないようにしましょう(写真参照)。
 また、下の写真は市販の素焼きのモールドですが、使用する際は離型剤(さまざまな商品名で市販されている)を塗り、完全に乾燥させてからガラスをのせて焼成します。
スランピング用のモールド.jpg ここで使用しているスランピング用のモールド
スランピングに使用する素焼きのモールド(底部分に空気抜きの穴を開けてある)。

フュージング作品の研磨などに使うもの

金剛砂1.jpg 金剛砂 1.#150 2. #300 3. #600 4. #1200

金剛砂2.jpg.....金剛砂3.jpg

金剛砂

 板ガラスの上に金剛砂を置き、少量の中性洗剤を混ぜた水で湿らせながら、研磨したいフュージング作品等をすり合わせて磨きます。(共ずり)。共ずりは、磨きたいガラス面の凸凹の程度に合わせて粗目から始めて細目まで順に磨いていきます。

サンドペーパー.jpg

耐水サンドペーパー

水をつけながら、粗目から細目まで順に磨いていきます(写真は左から#600、#800、#1000、#2000)。

スポンジ研磨剤.jpg

スポンジ研磨剤

金剛砂で共ずりした面や、サンドブラストをかけた面を水でぬらした#1200位のスポンジで軽く磨くと、少し透明感が出て手ざわりも良くなります。スポンジなので曲面や細部を磨くのにとても便利です。

ハンドグラインダー.jpg

ハンドグラインダー

フュージング作品の表面を磨いたり穴を開けるのに使用します。

ガラスに穴を開ける

ガラスに穴を開ける.jpg
球体のダイアモンドビット(刃)を使い、穴を開ける際は初めは遅めの回転で刃の側面を当ててきっかけを作り、徐々に回転数を上げていき、刃の先端が半分位入ったら垂直に当て、時々水をつけながら貫通させる。

仕上げ磨き、艶出し

金剛砂、サンドペーパー、スポンジ研磨材などで磨いた後、さらに作品に透明感や艶を出したいときは、仕上げ磨き用セリウムをつけたフェルト盤(ハンドグラインダーに取りつけられるものもある)でバフ磨きをします。あるいは、研磨でマットな状態になったガラス表面を電気炉で軽く焼成して艶を出す方法(ファイアリングポリッシュ)もあります。