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ステンドグラスいろいろ
ステンドグラス用の色板ガラスにはヨーロッパで作られているものとアメリカで作られているものがあります。そのほんの一部になりますが、代表的なメーカーの色板ガラスの特徴についてご紹介します。

ヨーロッパの色板ガラスメーカー(1)

サンゴバン社(フランス)、
ランバーツ社(ドイツ)のアンティークグラス

ヨーロッパで作られているガラスで代表的なガラスは、中世の大聖堂のステンドグラスに使われている色板ガラスと変わらず、全ての工程が宙吹きの技法で作られているアンティークグラス(フルアンティークグラス)です。
アンティークグラスは生産工場が少なく1枚1枚が手作りのためとても高価ですが、さまざまな色柄と質感、輝きは他に代え難いものです。
アンティークグラスの製造工程は、熟練した職人がまずガラスをシリンダー状に吹きます。次に両端を切り落とし筒状になったガラスの側面をカットし、焼き戻しながら切り開き板状にします。
この時に表面を金属デッキブラシのようなもので平らにならすので、ガラスの表面に細い筋のようなテクスチャー(ストライエーション)が付きます。またガラスの生地の中には細かい気泡が入れてあり、この2つは光を乱反射させる効果があり、アンティークグラス独特の質感と輝きが生まれます。

ガラスメーカー1.jpg サンゴバン社・シーディー(気泡が多く入っている)

ガラスメーカー2.jpg サンゴバン社・クラッケル

ガラスメーカー3.jpg サンゴバン社・バリオール

ガラスメーカー4.jpg ランバーツ社・オパックアンティーク(小さな気泡が多く入っている)

ヨーロッパの色板ガラスメーカー(2)

フラッシュドグラス(被せガラス)

クリアガラスに色ガラスを薄く被せた、フラッシュドグラス(被せガラス)という特殊な色板ガラスがあり、主に絵付け技法で使われてきました。色ガラスを被せてある面にカッティングシートを貼って色が必要ない部分を切り抜き、フッ化水素で腐食(アシッドエッチング)した後、絵や模様を描きます。写真のように段階を付けてシートを剥がして薬品の中にひたしグラデーションを作ったり、筆を使ってぼかしたりすることもできます(しかし、現在はこの作業は資格を持った管理者のいる定められた設備のある施設で行わなければなりませんので、個人では薬品を購入することはできません)。
フラッシュドグラスの中にはストリーキーガラスと呼ばれる、複数の色が流れているような模様のものもあり、同じ品番でも1枚として同じ板はありません。
アンティークガラスはほかにもクロズノ社(ポーランド)、フリーモント社(アメリカ)等のガラスも日本に輸入されています。

ガラスメーカー5.jpg サンゴバン社・フラッシュドグラス(被せガラス)
クリアガラスの上に色ガラスを熔着したもの。削る度合いによる色味の違いを見る見本。

ガラスメーカー6.jpg サンゴバン社・バリオール

ガラスメーカー7.jpg ランバーツ社・ストリーキー

ガラスメーカー8.jpg ランバーツ社・ストリーキーガラスの一種。

ヨーロッパの色板ガラスメーカー(3)

ショット社(ドイツ)のフュージング可能なガラス・アーティスタ(ニューアンティーク)

アーティスタ(ニューアンティーク)はアンティークグラスの表面のテクスチャーを取り入れて機械で作られています。厚みが均一で大きな板もあるので、店舗の窓やパーテーション等に使われることが多くなっています。アーティスタは膨張係数を合わせてあり、気泡が入っていないため透明感の高いフュージング作品を作ることができます。

アメリカの主な色板ガラスメーカー

アメリカでは1878年にルイス・コンフォート・ティファニーが、自然界に存在する色彩をガラス自体に持たせようと、色ガラスの開発に着手し、虹色のファブリルグラスを発明しました。また乳白色に複数の色ガラスが混じり合うオパールセントガラスを独自に製造しさまざまなガラス工芸作品を制作しました。ティファニーは本書で使用されているカッパーテープ技法を開発し、窓のためのステンドグラスパネルだけでなく、質の高い技術とデザインの立体的なドーム型をしたランプシェードを多数多く制作したことでも知られています。
現在アメリカでステンドグラス用の色板ガラスを製造販売している工場の多くは、ティファニーのガラスの再現に力を入れています。

オセアナ社
リングモトルなどの微妙な配色の美しさを持つ色板ガラスは、手作り(ハンドロール)されるため生産に手間と時間がかかり、高価ですが、ティファニーランプのレプリカ制作には欠かせないガラスです。

オセアナ社・ヘリンボーンリップル
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ココモ社
アメリカにおける最古のステンドグラスメーカーで、具象作品に適した自然な色合いのガラスを多く生産しています。

ヤカゲニー社
和紙のような、半透明に光を通すスティップルが特徴的です。

ヤカゲニー社・スティップル
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ウロボロス社
オパールセントモトルガラスの草分け的メーカーです。フュージング用ガラスに力を入れており、フュージョン FXというシリーズは膨張係数90(COE=90)のフュージング用ガラスです。
またシステム96というシリーズはスペクトラム社と共同で開発した膨張係数96(COE=96)に合わせたフュージング用ガラスのプロジェクトです。フリット、パウダー、コンフェティ、ストリンガー等も製造しています。

ガラスメーカー15.jpg ウロボロス社・リングモトル

ガラスメーカー16.jpg ウロボロス社・フラクチャー&ストリーマー

ブルズアイ社
ブルズアイ社はもともとは手作りでキャッツポー(猫の足跡)と呼ばれる独特な模様のステンドグラス用色板ガラス等を製造しているメーカーですが、同社の膨張係数を90(COE=90)に設定したブルズアイ・コンパティブル(BUF/BUT)シリーズは、色数が多く発色も鮮やかで、現在多くのキルンワークガラス工芸で使われています。また、色板ガラスだけでなく、組み合わせて使えばさまざまな表現が可能なフリット、パウダー、コンフェティ、ストリンガー等も製造しています。なお、ストライキングカラーなどの、焼成後に色が濃くなったり変色するものがありますので、作品を制作する前には必ずテストピースを焼成してみる必要があります。

ガラスメーカー17.jpg ブルズアイ社・コンパティブル

ガラスメーカー18.jpg ブルズアイ社・マルディグラシリーズ

ガラスメーカー19.jpg ブルズアイ社・マルディグラシリーズ

スペクトラム社
色数もテクスチャーの種類も多い機械で作られたガラスは厚みが均一でカットしやすく、価格も安価でステンドグラス用色板ガラスしてはとてもポピュラーなメーカーです。
スペクトラム社は近年フュージング用ガラスに力を入れており、システム96シリーズはウロボロス社との共同開発による膨張係数96(COE=96)に合わせたフュージング用ガラスです。フリット、パウダー、コンフェティ、ストリンガー等も製造しています。ガラス自体に気泡や目立つ不純物などが入っていないので、焼成後の作品には透明感があります。

ガラスメーカー20.jpg スペクトラム社・バロック

ガラスメーカー21.jpg スペクトラム社・ウィスピー

その他のガラス

これまで、ヨーロッパとアメリカの色板ガラスについて、フュージング可能なガラスも含めて主なメーカー別にご紹介してきましたが、ほかに、さまざまな種類のガラスが各社から発売されています。その一部をご紹介します。

ダイクロガラス
ガラスの表面に、金属(金、銀、銅、チタン等)真空蒸着させたもので、金属の種類により虹色や玉虫色に輝きます。クリアガラスだけでなく、黒当の不透明のガラスや、リップル等の凸凹の付いたガラス表面に加工したものもあり、また水玉模様や四角(グリット)模様等のパターンが付いているものもあります。
ダイクロはフュージングすると、質感が変化してより輝きを増します。ウロボロス社、ブルズアイ社ほか数社から発売されています。

ガラスメーカー22.jpg ダイクロさまざま

ガラスメーカー23.jpg ウロボロス社・システム96・ダイクロ

型板ガラス
ヨーロッパやアメリカで多くの種類の建材としての型板ガラス(パターンガラス、キャセドラル等)が作られており、ステンドグラスに使われる材料としても昔から人気があります。機械で作られており、厚みがあり硬いガラスです。写真のガラス板は薄めですが、アンバーや赤、コバルトブルーなどの濃い色のもののあります。

型板ガラスさまざま
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グルーチップ
表面をサンドブラストしたガラスに膠(にかわ)を塗り、高温で乾かすと、膠が乾燥する時に縮んでガラス表面を剥ぎ取っていく時の偶然性により、鳥の羽のようなテクスチャーが生まれます。フェザーグラスとも呼ばれています。

ガラスメーカー29.jpg グルーチップ

板ガラス以外のフュージング可能なガラスたち

ガラスたち1.jpg ブルズアイ社・ストリンガー(細く引いた棒状のガラス)

ガラスたち2.jpg ブルズアイ社・パウダー(粉)

ガラスたち3.jpg ブルズアイ社・パウダー(粉)

ガラスたち4.jpg.....ガラスたち5.jpgブルズアイ社・フリット(粒)

ガラスたち6.jpg ブルズアイ社・コンフェティ(CONFETTI)薄いガラス片

ステンドグラス作品に使用できるその他のガラスたち

ガラスたち7.jpg ナギット

ガラスたち8.jpg フロストビー玉(マット加工)